「オイカケッコ」 ☆利用規約 ・Twitterなどのネット上にこのシナリオのURLのみを貼ることを禁止します。  このような行動を発見した場合、然るべき処置を取らせていただくのでご了承ください ・シナリオのネタバレを公開するのはお控えください。  黒幕の存在等を出す場合、他者が見られないようにするか、ネタバレ注意と一言添えるなりの配慮をお願いします。 ・これらの処置があまりにも取られていないと判断した場合、予告なしに非公開にする可能性があります。 ・シナリオ改変、動画使用などはオーケーです。  なお、このシナリオを使用した際のトラブルの責任は一切負いません。 ・使用報告や質問等何かあればTwitterへ  ネタバレ部分の質問でしたら、DM等のご使用をお願いします  雪空鈴音のTwitter→@1104rika08021 あらすじ  探索者達が目を覚ますと、そこは大量の人形に囲まれた部屋だった。  不気味な部屋に恐怖する探索者達は、一枚の紙きれを見つける 「途中で捕まったら真っ赤になって死んじゃうよ  ゴールまで逃げきれたら死んじゃうよ  五回鐘を鳴らしたらスタートだよ  頑張ってね!」 推奨技能 目星、医学 歴史 推奨人数 2〜4人 ロストの可能性あり プレイ時間1〜3時間 舞台  中央の部屋には大量の人形があります。  東の部屋は本棚が置かれている図書室です。  西の部屋は今までの被害者の死体の山です。  北の鉄格子は入る事が出来ません。そこでは星の精がオイカケッコの開始を待っています。  南の部屋は、鐘が五回ならないと出てきません。  南の部屋の先の鳥居がゴールです。 KP向け情報  ある所に星の精を信仰する魔術師がいた。  魔術師は、儀式によって星の精を呼び出すことに成功し、以来星の精のために特殊な空間を作り上げた。  その空間に魔術で人を呼び、星の精が楽しんで生贄の血を吸えるよう、絶対に勝てない「オイカケッコ」を計画した。  その試みは上手くいき、星の精は数多くの人の血を吸った。  しかし、ある時うっかり魔術師自身の血も吸われてしまい魔術師は息絶える。  残った星の精は、オイカケッコが楽しくなってしまい、魔術師の残した仕掛けを使用し人を呼びその血を吸い続けた。  しかし、魔術師を失ったことにより、絶対に勝てないオイカケッコに勝てる穴が出来たのだった。  探索者が生き残る方法はただ一つ。  オイカケッコがスタートしたら、魔術師が自分用に用意していた人形を持つ。  そしてその人形を身代わりにしながら、オイカケッコを開始しゴールまでたどり着くことである。  探索者達は、人形を二個所持していなければ、生き残るのは難しいだろう。 KPへの注意点  シナリオの最中、KPは鐘を五回慣らさなければならない。  鳴らすタイミングは自由だが、PL達が人形を所持した以降に五回目の鐘を鳴らすと良いだろう。  また、正解の人形はPLによって違うので、きちんと正解の人形を選んでいるかどうか確認することが大事である。  特に鐘を鳴らすのを忘れると大変なので、鐘は忘れずに鳴らすこと。  また、人形を選ぶ際にPLが頭を悩ませることがある。  あまりにも悩む場合は、アイディアを振らせるのも良いだろう。 鐘の鳴るタイミングの一例 ・中央の部屋の紙を観終わったタイミング ・本をよみ終わったタイミング ・東の部屋を出たタイミング ・西の部屋の炙り出しを出たタイミング ・人形を選び終わったタイミング 導入  あなたたちがいつものように仕事をし、就寝します。  確かにそのはずです。  しかし、次にあなたたちが目を覚ました瞬間、大量の人形が見えました。  そしていつの間にかあなたたちは昼間着ていた服装となっています。  しかし、普段持ち歩いている所持品は見当たりません。 ☆中央、人形の部屋  大量の人形が置かれた薄気味悪い部屋です。  周囲を見回せば、東西に鉄の扉と、北に鉄格子があるのが見えるでしょう。  また、あなたたちの目の前の床に、一枚の紙が落ちている →全体に目星  部屋を見回すと、ふと南側の壁に違和感を感じます。  他の壁と少し違う感じがします。 KP向け情報  これはゴールへ続く道があることを暗示しています。  この壁はPLが何をやっても開くことはありません。  なおこの壁がどのように違うかと言うと、そこの壁だけ他の壁と違う素材で作られているような感じです。 紙  紙には流麗な字でこんなことが書かれています。 「途中で捕まったら真っ赤になって死んじゃうよ  ゴールまで逃げきれたら死んじゃうよ  五回鐘を鳴らしたらスタートだよ  頑張ってね!」 →人形への目星  山のようにある人形ですが、あなたはそれらを観察してある事に気が付きます。  大量にある人形ですが、全部で五種類あることに気が付きます。  一つ目は、和服に黒髪の女の姿をした人形です。  二つ目は、和服に黒髪の男の姿をした人形です。  三つ目は、洋服に金髪の女の姿をした人形です。  四つ目は、洋服に金髪の男の姿をした人形です。  五つ目は、真っ黒な人形です。  人形は少々大きく、持てて二個が限界というように見えます。 →人形に歴史  人形は昔、人間の代わりに厄災を引き受けてくれる対象物として使われていた。  という知識を思い出します。 →人形に医学  あなたはふと、この人形に血が通っていることに気が付くでしょう。  そう、この人形には生きた血があるのです。  それに気づいた瞬間、この人形がドクンドクンと脈を打っていることにも気付きます。  普通ならばないはずのそれに、気味が悪くなることでしょう。  SAN値チェックです。0/1D2でどうぞ。 KP向け情報  身代わり用の人形です。  PLによって、身代わりとしての効力を発揮するか否か違います。  一つ目は、日本人で女性である場合。  二つ目は、日本人で男性である場合。  三つ目は、外国人で女性である場合。  四つ目は、外国人で男性である場合。  五つ目は、国籍又は性別不明である場合。  日本人で女性である探索者が一つ目を選んだ場合、その人形は身代わりの力を発揮します。  反対に、日本人で女性である探索者が四つ目の人形を選んだ場合、身代わりの効力を発揮しません。  もしもこのどの条件にも当てはまらない探索者がいた場合、KPはその探索者に合わせた人形を用意しても良いでしょう。  なおこの人形の山は、魔術師が自分の身に危険があった時に使おうと用意していました。  魔術師は使う前に死んでしまいましたが。  なお、探索者達が来る前のオイカケッコの際はこの人形は魔術によって隠されていました。  魔術師が死亡した事により、人形を隠す魔術はかけられず、こうして探索者の目の前にあるのです。  なお、この人形はずっしりとした重さがあるため、限界で二個でしょう。  もしもPLが三個目を持ちたいと希望するのであれば、STR×5などで持てたかどうかの判定をすると良いでしょう。 鉄格子  鉄格子の向こうは不自然なほど真っ暗です。  鍵らしきものははなく、鉄格子を開けるのは無理そうです。  もしも奥を覗こうとするなら、目星ー10されるでしょう。 →目星  あなたが鉄格子の隙間から奥を覗こうとしました。  瞬間、あなたは気が付きます。  鉄格子の奥の人間に。  皮膚という皮膚は真っ白。生気のない目の焦点は合っておらず、ただこちらを見ています。  長い黒髪はぼさぼさです。たらりと腕からは力が抜けており、その足は地面から浮いているように見えました。  死体にしてもあまりにも異常なそれに、あなたは恐怖します。  SAN値チェックです。1/1D4でどうぞ。 →死体に医学  遠目なのではっきりとはわかりませんが、あの死体には血が一滴もないのではないかと思います。  しかし、その出血したはずの血はどこにも見当たりません。  その事実に、心臓を凍えた手で撫でられたような感覚を覚えます。  SAN値チェックです。0/1D3でどうぞ。 KP向け情報  見えた死体は、星の精に吸われたばかりのものです。 ☆東の部屋  東の部屋は、壁一面に本棚が置かれています。  どの本棚にもぎっしりと本が詰まっており、日本語から英語と様々な本があります。  また部屋の中央には質素な机が置かれており、そこにはノートやペン、いくつか蝋燭が置かれています。 →目星  ではあなたは、ある本棚の後ろに紙が落ちていることに気が付きます。  それは、真っ赤なものが飛び散った紙でした。 「いやだなんでなんでたすけてくれおねがいだ  だってこんなことありえない。なんでだ、だってさっきまで普通だったじゃないか。  おかしい、こんなことおかしい。何故あいつはしたがわない!? なんでだ!!  ああいやだ、しにたくない、しにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくない!!  しにたくないだれかたすけてくれおねがいだおれをたすけてしにたくない!!!!  ああはやく人形を選ばなければ。はやく中央の部屋に!!  だめだ、声が。笑い声が。  いやだいやだたすけてしにたくないおねがいだたすけておね」  ただひたすら助けを求めるそれに狂気を感じる事でしょう。  SAN値チェックです。1/1D4でどうぞ。 KP向け情報  これは、星の精を召喚した魔術師の手記です。  星の精に獲物認定された魔術師は、人形を取りに行く前にここで殺されます。  紙についていた血は、星の精に捕まった際のものです。 →図書館  あなたが本を探していると、ふと変わった本を見つけます。  「妖蛆の秘密」  日本語で書かれたその本は、読むのに一時間ほどかかると予想が出来ます。  最後まで読むと、以下の事が分かります。 ・この本は、本来あったラテン語をドイツ語へ翻訳したものを、さらに日本語に翻訳したもの。 ・この本はベルギーの有名な魔術師が書いたという。 ・前半部分には幽霊やゾンビについて書かれている ・後半部分は、筆者の行った旅行について。その旅行の先でジンやイフリートと出会った事について。 ・この日本語版には、以下の呪文が書かれている。 <亡霊に命令する> <水晶占いの窓の創造> <ビヤーキーの召喚/従属> <星の精の召喚/従属>  冒涜的なその本は、完璧とは言い難いものだったが、あなたの恐怖を煽るには十分だった。  深淵に触れてしまったあなたは、SAN値チェックです。  1D2/1D6でどうぞ。  また、クトゥルフ神話技能は3%差し上げます。 ※KPからPLへの救済措置  もしも、探索者がオカルト歴史を持っていなかった場合。  人形に対しての昔身代わりとして使用されていた等の知識を得ていなかった場合。  図書館あるいは幸運に成功したらこの情報を差し上げると良いでしょう。 →オカルト歴史がないor失敗した  あなたはこんな本も発見する。  「人形の歴史」  少し薄いその本は、あっという間に読み終わりそうだ。  その内容は、人形についての簡単な歴史だった。 「人形の作成は、古くは先史時代から始まった。  どの時代でも作られ、人間の文化活動の本質的なものであるといえる。  なものであるといえる。  人形の主な用途は、祭礼などの宗教行事や伝統行事。  それ以外にも、文楽などの人形劇で使われる他、玩具、土産物、芸術作品等に使われる。  しかし昔、人形は他人に呪いをかけるための呪詛の道具。  あるいは、人間の身代わりに厄災を引き受けてくれる対象物として使われた」 →オカルト  ここに置かれている本は、オカルト関連の本ばかりである事に気が付きます。  詐欺だと言われているようなものから、本物なのではないかという噂のあるものまで様々です。  どうやらこの本の持ち主は、相当なオカルト好きだったようです。 机  机上には、ノートやペン、蝋燭の何本かが置かれています。  蝋燭の火はゆらゆらと蠢きあなたたちをじっと見つめていました。  ノートは一枚だけ切り取られて机の上に置かれていましたが、白紙のようです。  その紙を手に持った時点で、幸運をどうぞ。 →幸運成功  では、あなたが紙を持つと、なにやら文字が浮かび上がっていました。 「ゴールが見えるようにするにはどうしたらいいだろうか。  なにかしなければいけないのだろうか?」 →聞き耳  ふと机の上から柑橘系の匂いがすることに気が付きます。 →ノートを調べる。  白紙です。が、誰かが使っていたのか切り取られていたような後が見えます。 KP向け情報  ノートは、PLが炙り出しに気付きやすいようにするものです。  紙に書かれている文字は、ゴールは時間経過しないと見えないことを示してます。 ☆西の部屋  西の部屋に入った途端、鼻を覆いたくなるほどの腐臭が襲い掛かってきます。  あなたが臭いに嫌悪しつつ部屋を見れば、その顔は驚愕に染まることでしょう。  そこにあったのは、腐りかけた死体の山でした。  まるで玩具のように。ゴミ箱のゴミのように。中央の部屋の人形のように。死体が転がっています。  SAN値チェックです。  1/1D4+1でどうぞ。 KP向け情報  この部屋は、今までの犠牲者の遺体を詰めている部屋です。  星の精を召喚した魔術師の死体もここにあります。 →目星  ふと、部屋の隅に一冊の本が落ちていることに気付くでしょう。  黒い表紙のメモ帳のようです。  内容は以下の通りです。 「星の精の召喚に成功した。  星の精に捧げる生贄を呼ぶための空間も出来あがった。後は、ここに人を魔術で呼ぶだけだ。  しかし、ただ呼んで喰わせるだけで満足してくださるだろうか。  やはりここは、楽しんでもらえるように工夫をしないとな。  そういえば、あの大量の人形をどうしようか。  味方や信者が増えた時用にたくさんの種類を持ってきたのだが、あんなにはいらなかったか。  各種類二個ずつで良かったか。あるいは、俺の分だけでも良かったかもしれないな。  まあいいか、星の精は俺を襲おうとしていないしな」 →死体に対して医学  あなたは死体を調べていると、ふとある事に気が付きます。  この死体のどれもが、一滴残らず血がないという事実に。  まるで吸血鬼にでも吸われたかのような信じられない死体に、あなたは恐怖するでしょう。  SAN値チェックです。1/1D4でどうぞ。 →死体を目星  ふとあなたは、死体の山の中に変わった格好の死体がある事に気が付きます。  真っ黒なローブという格好は、現代的な服装ばかりの中で目立っています。  また、真っ黒なローブから一枚の紙が顔を出している事に気が付くでしょう。  あなたがその紙を取ろうとするなら、死体の山が崩れないように注意して取らなければならないでしょう。  何事もなく取れたかどうか、DEX×5でどうぞ。 →DEX×5成功  するりと紙は綺麗に取れました。 →DEX×5失敗  あなたが紙を取った瞬間、死体の山が崩れます。  雪崩の如く生気のない顔、腐りかけた顔があなたに向かって落下します。  気が付けば、あなたはたくさんの死体と共に床に寝ていました。 ※この時、他の探索者がいた場合崩れた死体を避けれたか回避かDEX×5を振らせると良いでしょう。  失敗した場合は、その探索者も死体と一緒に寝ています。  鼻を覆うような腐臭に顔をしかめるあなたは、すぐ近くにある死体に強烈な嫌悪を覚えます。  SAN値チェックです。  1/1D4+1でどうぞ。 ローブの中にあった紙  ローブの中にあった紙は、裏も表も真っ白です。  紙を見た探索者達は聞き耳をどうぞ。ただし、腐臭のする部屋で行う場合はー20です。 →聞き耳  柑橘類の臭いがする事に気が付きます。  柑橘類の臭いに気が付いた方々は、知識をどうぞ。 →知識  紙に蜜柑の汁を使い文字を書くと、文字が無色なためなんて書いてあるか分からない。  その文字を浮かび上がらせる為には、火で炙らなければいけない。  という炙り出しの知識を思い出します。 KP向け情報  知識で炙り出しに気が付かせるようここに書いています。  が、もしもPLに推理させたいなど考える場合は知識をすぐに振らせないという方法もありだと思います。 →炙り出し  じんわりと文字が浮かび上がってきます。 「捕まって一回。  ゴールで一回。  一回につき一個だけ  自分に近いものをその数だけ  自分はどこのどんな人かを考えてみれば分かる」 KP向け情報  これは、必要な人形の数が二個であることを指しています。  最後の文は、自分によく似たものを選ぶという意味です。  魔術師は、うっかり自分が忘れた時用のメモとして所持していました。 ☆五回目の鐘(中央の部屋以外の部屋にいた場合)  あなたたちの耳に鐘の音が聞こえてきます。  それは、五回目の鐘でした。  厳かな音をたてて響くそれは、やがて静かな音を経て、消え去ります。  数秒でしょうか。数十秒でしたのでしょうか。  一瞬とも思えるような時間の後、何かを破壊するような音が聞こえます。  それと同時に部屋の扉がすさまじい音を経てて壊れます。  と思った瞬間、なにかが壁に激突する音が聞こえました。  途端にあなたたちは、クスクスという笑い声を聞き  あなたたちは悟るでしょう。オイカケッコの鬼にして、元凶なのだと。  しかし、不思議なことにそれの姿は見えません。  ただ笑い声だけが反響している事実に、SAN値チェックです。  見えない恐怖に0/1D4でどうぞ。  ここで全員、幸運をどうぞ。  では、幸運の値が一番高かった方へ、なにかが突進していく、ように感じました。  避けようと動くことでしょう。しかし、その動作は一歩遅かったようです。  なにか、はあなたに襲い掛かり―― →正解の人形を持っていなかった場合  あなたは、それに噛みつかれました。  後述の『それはあなたじゃないですね』を参照 →正解の人形を持っていた場合  あなたが襲い掛かる痛みを覚悟した瞬間です。  あなたの手の物が一つ、消え失せたのを感じることでしょう。  見れば、あなたの持った人形の一つが宙に浮いています。  そして、その人形の姿がぐしゃりと歪んだ瞬間です。  何もないはずの空間に、それは現れました。  全体は赤く、赤いものが滴ってる。  脈動して不気味な動きを繰り返すそれはまるで大きなゼリーの塊。  波打つ無数の触手のついた深紅の塊のような胴体。  頭も、顔も、目もなく、ただ恐ろしいかぎ爪をもったそれは、まぎれもない化け物でした。  気味が悪い。気色悪い。  そんな言葉では片付かない化け物を見てしまったあなたはSAN値チェックです。  1/1D10でどうぞ。  その化け物は、人形の血を必死に吸っています。  よほどその吸血行為に夢中なのか、あなたたちに気が付く様子はありません。 →中央、人形の部屋へ  あなたたちが中央の部屋に入ると、鉄格子が無残な姿になっているのを見つけるでしょう。  それと同時に、さきほどまでなかったはずの扉が南にあるのに気が付きます。  なんてことのない木の扉です。 KP向け情報  もしも南の扉に聞き耳を振り音を確認しようものなら、星の精に追いつかれることでしょう。  KPは、もたつくようでしたらその事を伝えると良いでしょう。 ☆五回目の鐘(中央の部屋にいた場合)  あなたたちの耳に鐘の音が聞こえてきます。  それは、五回目の鐘でした。  厳かな音をたてて響くそれは、やがて静かな音を経て、消え去ります。  数秒でしょうか。数十秒でしたのでしょうか。  一瞬とも思えるような時間の後、鉄格子が破壊されます。  途端にあなたたちは、クスクスという笑い声を聞きました。  あなたたちは悟るでしょう。これがオイカケッコの鬼にして、元凶なのだと。  しかし、不思議なことにそれの姿は見えません。  ただ笑い声だけが反響している事実に、SAN値チェックです。  見えない恐怖に0/1D4でどうぞ。  ここで全員、幸運をどうぞ。  では、幸運の値が一番高かった方へ、なにかが突進していく、ように感じました。  避けようと動くことでしょう。しかし、その動作は一歩遅かったようです。  なにか、はあなたに襲い掛かり―― →正解の人形を持っていなかった場合  あなたは、それに噛みつかれました。  後述の『それはあなたじゃないですね』を参照 →正解の人形を持っていた場合  あなたが襲い掛かる痛みを覚悟した瞬間です。  あなたの手の物が一つ、消え失せたのを感じることでしょう。  見れば、あなたの持った人形の一つが宙に浮いています。  そして、その人形の姿がぐしゃりと歪んだ瞬間です。  何もないはずの空間に、それは現れました。  全体は赤く、赤いものが滴ってる。  脈動して不気味な動きを繰り返すそれはまるで大きなゼリーの塊。  波打つ無数の触手のついた深紅の塊のような胴体。  頭も、顔も、目もなく、ただ恐ろしいかぎ爪をもったそれは、まぎれもない化け物でした。  気味が悪い。気色悪い。  そんな言葉では片付かない化け物を見てしまったあなたはSAN値チェックです。  1/1D10でどうぞ。  その化け物は、人形の血を必死に吸っています。  よほどその吸血行為に夢中なのか、あなたたちに気が付く様子はありません。  さて。ここであなたたちはようやく気付くでしょう。  いつの間にか、この部屋の南側に新しい扉が現れていました。  なんてことのない、木で出来た扉です。 KP向け情報  もしも南の扉に聞き耳を振り音を確認しようものなら、星の精に追いつかれることでしょう。  KPは、もたつくようでしたらその事を伝えると良いでしょう。 ☆南の扉に  南の部屋は、無口な景色が続く長い廊下でした。  長い廊下の向こうには、真っ赤な鳥居が見えます。  あなたたちが走り出せば、後ろから再び轟音が聞こえることでしょう。  その音の正体がさきほどの化け物なことはすぐに分かることでしょう。 →鳥居まで走る  あなたたちが必死な思いで鳥居をくぐった瞬間です。  クスクス笑いが、一層強くなりました。  心底楽しそうな嘲笑が辺りを支配しました。  不協和音ともとれる音に感化されるよう、周囲の景色はぐにゃりと歪み、暗闇に放り出されます。  瞬間です。 →正しい人形を持っていなかった場合  (正しい人形を持っていなかった人物)の目の前に、赤い化け物はいました。  後述の『いただきまあす』 →正しい人形を持っていた場合  人形から溢れるほどのまぶしい光が放たれます。  その光は、暗闇を切り裂き、あなたたちの体は真っ白な空間を落ちています。  不思議と恐怖のない浮遊感に目を見張るあなたですが、次第にその視界は白く掠れ、何も見えなくなり  あなたの意識は沈んでいきます。  クスクス笑いは、いつの間にか止んでいました。 ☆結末  あなたたちはふと目を覚まします。  外を見ればまだ夜明け前。時計は早朝の四時を指しています。  体を起こせば、自分自身が汗をかいていることに気が付くでしょう。  寝汗とは思えないそれは、冷や汗のようで。  ただの夢と笑うか、現実だと認めるか、あるいはそれ以外か。  それを決めるのは、あなたです。 シナリオクリア報酬  オイカケッコに勝利した1D6+1 ※もしもPLが複数の場合  オイカケッコに全員で勝利した1D6 ☆それはあなたじゃないですね  (星の精に捕まった時に正解の人形を所持していなかった)  足が宙を浮きます。  しかし、噛みつかれたあなたはそれを気にしている場合ではないでしょう。  だって、自分の大切ななにかが吸われているという痛みが襲ってきているのですから。  その見えないものは、あなたを離しません。  いくら暴れようが、声をあげようが、仲間が助けようとしても、それは離さず。  あなたの血を、ただひたすら喰らいます。  あなたはやがて、意識が遠のいていく事でしょう。  そして、あなたはクスクスという笑いを聞くことでしょう。  それは、死神の笑い声でした。  一方、残ったあなたたちは今まで一緒にいた人物の命の灯が消えるのを目の当たりにします。  どれだけ力を振り絞ろうが、その仲間を助けることは出来ません。  あなたたちは、すぐに助けられない事を悟る事でしょう。  徐々に体の力の抜けていく仲間。もう間もなく死が仲間を連れ去るのでしょう。  SAN値チェックです。1/1D6でどうぞ。  では、あなたたちは悟ります。  自分達は、この仲間を見捨てて逃げるしか道はないのだと。 →中央、人形の部屋へ  あなたたちが中央の部屋に入ると、鉄格子が無残な姿になっているのを見つけるでしょう。  それと同時に、さきほどまでなかったはずの扉が南にあるのに気が付きます。  なんてことのない木の扉です。 KP向け情報  もしも南の扉に聞き耳を振り音を確認しようものなら、星の精に追いつかれることでしょう。  KPは、もたつくようでしたらその事を伝えると良いでしょう。 →南の扉  南の部屋は、無口な景色が続く長い廊下でした。  長い廊下の向こうには、真っ赤な鳥居が見えます。  あなたたちが走り出せば、後ろから再び轟音が聞こえることでしょう。  さきほどの化け物なことはすぐに分かることでしょう。 →鳥居まで走る  あなたたちが必死な思いで鳥居をくぐった瞬間です。  クスクス笑いが、一層強くなりました。  心底楽しそうな嘲笑が辺りを支配しました。  不協和音ともとれる音に感化されるよう、周囲の景色はぐにゃりと歪み、暗闇に放り出されます。  瞬間です。 →正しい人形を持っていなかった場合  (正しい人形を持っていなかった人物)の目の前に、赤い化け物はいました。  後述の『いただきまあす』 →正しい人形を持っていた場合  人形から溢れるほどのまぶしい光が放たれます。  その光は、暗闇を切り裂き、あなたたちの体は真っ白な空間を落ちています。  不思議と恐怖のない浮遊感に目を見張るあなたですが、次第にその視界は白く掠れ、何も見えなくなり  あなたの意識は沈んでいきます。  クスクス笑いは、いつの間にか止んでいました。 ☆結末 〜その人を知っている〜  あなたたちが目を覚ますと、まだ時刻は深夜二時でした。  まだ寝ようと思うにも、嫌に目が冴えてしまっています。  しょうがなく、あなたたちは体を起こすでしょう。  そして、何気なくラジオを、あるいはテレビの電源をつけるでしょう。  瞬間、流れ出すのは深夜のニュースです。 『本日一時半頃、○○市の○○に住む人が亡くなりました。  被害者の体には、血の一滴もなかったことから――』  あなたたちの耳に、そのニュースの詳しい内容は入らないことでしょう。  だって、読み上げられた名前は。  画面に映る顔は。  あなたたちが、さきほどまで一緒にいた仲間だったのですから。 シナリオクリア報酬  オイカケッコに勝った1D6 ☆いただきまあす  (鳥居をくぐった際に正しい人形を持っていなかった場合)  クスクス笑いがあなたの耳元で聞こえます。  いつの間にか、あなたの目の前には赤い化け物がいました。  それは、楽しそうに、それはそれは楽しそうに笑って。  あなたに、そのかぎ爪を刺します。  悲鳴は、闇に飲み込まれていきます。  あなたの脳裏に、大量の死体がよぎるでしょう。  それと同時に悟るでしょう。  あなたも、あの山を形成する一部となるのだと。 →正しい人形を持っていた探索者達  人形から溢れるほどのまぶしい光が放たれます。  その光は、暗闇を切り裂き、あなたたちの体は真っ白な空間を落ちています。  不思議と恐怖のない浮遊感に目を見張るあなたですが、次第にその視界は白く掠れ、何も見えなくなり  あなたの意識は沈んでいきます。  クスクス笑いは、いつの間にか止んでいました。 ☆結末 〜その人を知っている〜  あなたたちが目を覚ますと、まだ時刻は深夜二時でした。  まだ寝ようと思うにも、嫌に目が冴えてしまっています。  しょうがなく、あなたたちは体を起こすでしょう。  そして、何気なくラジオを、あるいはテレビの電源をつけるでしょう。  瞬間、流れ出すのは深夜のニュースです。 『本日一時半頃、○○市の○○に住む人が亡くなりました。  被害者の体には、血の一滴もなかったことから――』  あなたたちの耳に、そのニュースの詳しい内容は入らないことでしょう。  だって、読み上げられた名前は。  画面に映る顔は。  あなたたちが、さきほどまで一緒にいた仲間だったのですから。 シナリオクリア報酬  オイカケッコに勝った1D6 制作者:雪空鈴音