「廃校の怪」 ☆利用規約 ・Twitterなどのネット上にこのシナリオのURLのみを貼ることを禁止します。  このような行動を発見した場合、然るべき処置を取らせていただくのでご了承ください ・シナリオのネタバレを公開するのはお控えください。  黒幕の存在等を出す場合、他者が見られないようにするか、ネタバレ注意と一言添えるなりの配慮をお願いします。 ・これらの処置があまりにも取られていないと判断した場合、予告なしに非公開にする可能性があります。 ・シナリオ改変、動画使用などはオーケーです。  なお、このシナリオを使用した際のトラブルの責任は一切負いません。 ・使用報告や質問等何かあればTwitterへ  ネタバレ部分の質問でしたら、DM等のご使用をお願いします  雪空鈴音のTwitter→@1104rika08021 シナリオ  舞台は現代日本。  友人に誘われ肝試しに廃校へ行くこととなった探索者達は、そこで起こる数々の怪奇現象に見舞われることとなる。  そしてあなたたちはこの怪奇現象の原因を知ることとなるだろう。 推奨技能 。精神分析、目星 対象人数 4人〜6人 難易度初心者から中級者向け プレイ時間4〜5時間 KP向け情報  この廃校は田舎の小さな中学校です。  生徒人数、教師人数は少ないですが穏やかな学校でした。  しかし、ここに飛ばされてきた校長は退屈な田舎に飽き飽きしていました。  そんな校長はある日、シュブ=ニグラスについて書かれた魔道書をひょんなことから手に入れます。  その魅力の虜になった彼はシュブ=ニグラスを召喚しようとしたのです。  生徒と教師一人を生贄にしようと殺害したのでした。  殺害も召喚も死体も校長室の隠し部屋だったため警察も犯人を捕まえることは出来ませんでした。  事件は迷宮入りとなり生徒もいなくなったことにより学校も廃校となったのです。  しかし、その事件に生き残りの生徒が一人だけいました。  柊空という名前の女性徒は、事件当日風邪を引き学校を休んでいたため、校長に殺害されずに生き残ったのです。  柊空は、集団失踪として迷宮入りになった事件の真相を確かめるため、密かに活動していました。  そんなある日、校長に協力した教師の見舞いに訪れた際に校長が殺害を企てたことなどを知ります。  廃校となった母校で、柊空は校長が事件の犯人であったことを知り、復讐を企てます。  ひょんなことから魔力の詰まった石を手に入れた柊空は、殺された生徒たちを呼び出しました。  そして、亡霊たちを操って、誘拐した校長を凄惨な方法で殺そうとしたのです。  しかし、そんな柊空の計画達成を邪魔しようとする存在がありました。  柊空の親友である園田愛です。  柊空に罪を犯してほしくない一心で、死ぬ間際の記憶と引き換えに助けてくれる人を探す体を手に入れたのです。  探索者達は、どのエンドにいってもロストすることはありません。  しかし、トゥルーエンドにいくためには、以下の行動が必要となります。 ・園田愛と出会う ・園田愛の願いを引き受ける ・園田愛が死に際を思い出し、消える際におちる園田愛の骨を拾う ・屋上で柊空と対峙した際、亡霊を呼び出す呪文を行使する。 NPC一覧 長塚 昴  あなたたちの友人です。  明るい性格です。  が、ビビりなくせに怖い物好きという困った所があります。  学校に行き怪異に遭遇すると発狂し、どこかへ走り去り悪霊に殺されてしまいます。  死亡確実キャラクターとなります。 柊 空 20才 女  今回の事件の黒幕です。  五年前に死亡した親友ひいては学校の友人たちの恨みを晴らそうと、学校の校長を最悪の死に方で殺そうとしています。  邪魔をするのならあなたたちを殺そうとするでしょう。  彼女を止めたいのであれば、園田愛の幽霊に会わせるしか方法はありません。 園田 愛 15才  幽霊の少女です。その正体は、五年前の事件で死亡した女子学生です。  どうして自分が幽霊になったのかなどの理由は覚えていません。  ただあなたたちに助けてほしいという思いだけをもっています。  彼女の存在は徐々に透けていき、彼女自身、この姿を長い間保つことはできないと感じています。  物語が進むと、自分の最期を思い出し発狂します。  精神分析、あるいは説得を用いれば正気に戻り、かつて親友であった柊空を助けてほしいと言い残し、消えてしまいます。  彼女と柊空を会わすには、特殊な呪文が必要となります。  なお、彼女は柊空を助けたい気持ちで生まれた存在なので、無理やり悪霊化から免れています。  そのため、長い間姿を保っていられません。  探索者が読んだ場合は、短時間でありますが悪霊にならず存在することが出来ます。 門田 鉄 50代前半  備中中学校の校長だった男です。  五年前、ひょんなことからシュブ=ニグラスについて知りました。  以後、その魅力にとりつかれ生徒を生贄として捧げるため生徒を殺害。  黒い仔山羊を召喚しようとしていたが、残念ながら呪文は失敗しました。  その後は逮捕されることはありませんでしたそもそも死体が見つからなかった)  その後は遠くに引っ越し引き続きシュブ=ニグラスについて研究を進めていました。  全てを知った柊空によって拉致され、校内をうろついたのちに屋上で拷問されます。  なお、SAN値はすでにゼロである。 園田 まい子 80歳  年を取った老婆。大分ボケており、愛の祖母で、彼女の遺影を本当の愛のように扱っている。  遺影に話しかけている光景は不気味であるが、本当に孫を愛していることが分かるだろう。  トゥルーエンドのみ出現し、孫娘の願いを叶えてくれた探索者たちに礼を言ってきます。  それがボケなのか、あるいは別の考えなのか……探索者たちに知る術はないだろう。 園田 正 22歳 男  園田愛の兄である。現在はまい子の介護をしつつ暮らしている。  祖母がぼけて周りに話しかけるのを周囲に謝っている。  よく祖母の様子を見に来てくれる空の様子を気にしていたり、人の好い青年である。 篠田 優実 女性  若い新人教師。まだまだ新人故のドジな所もあるが、生徒思いの優しい先生です。  五年前の集団失踪の内一人で、教師の中で唯一の行方不明者です。  実は五年前、校長と坂原が何か企てていたのに気がつき、その企みを暴こうとしていました。  しかし、それに気づかれ一番最初の犠牲者となってしまったのです。  憎しみもなく死んだのと生徒思いなのもあってでしょうか。  職員室の写真に自分の魂を閉じ込めることで悪霊化を簡単に防いでます。 坂原 竜   備中中学校のもう一人の教師。生徒からの評判は最悪極まりない自己中心的な男。  金目当てに校長に協力し生徒を売りました。  現在は故人。二年前に病気で亡くなった。  死ぬ寸前は気がおかしくなっていたようで、柊空に全てを話それが復讐のきっかけとなりました。 導入  あなたたちの元に、友人である長塚昴から連絡が届くでしょう。 『ハロオオオオオオオオ!!  なあお前次の日曜ひま? 暇だよなっていう訳で肝試し行こうぜ!  いースポット見つけたんだよウェー! ってな訳で、十時に駅前集合な!  車は俺が持ってくから安心してくれよ! ふうううううう!!』  という内容です。  ちなみに行かないとシナリオ終了となりますのでご注意ください。  では、行く際に荷物チェックをお願いします。 ☆老婆との出会い  ではあなたが駅前に行くと、友人である長塚がすでにいました。  あなたたちに気付くと、こちらに手を振って手招きしています。 「ようやく来たな! では、今回の肝試しメンバーはここにいる全員だ!」  ここで初対面の場合は自己紹介RPをするといいでしょう。  では早速車に乗りながら早速目的地へ向かいます。  見たことのあるような、ないような景色が流れては消えていくのが窓から見えるでしょう。  ラジオからはどこかに住む男性が行方不明になったというニュースが流れています。 「大体五、六時間くらいで着く予定だからな。いやあ楽しみだなあ」  長塚は車を運転しながら楽しそうに喋ります。  車が目的地に着くまで少し時間があります。  もしもしたいことがあるのでしたら、着くまでの間可能でしょう。 →廃校について長塚の話を聞く。  長塚が話したことをまとめると、こうです。 一、廃校の名前は備中中学校。 二、元々人が少ない寂れた村にあった学校 三、五年前、生徒たちが集団失踪したため廃校となった 四、集団失踪の理由も犯人も今だ判明しておらず、迷宮入りとなった事件である。 ・どこで廃校のことを知った? 「近場のホラースポットを探していたら見つけたんだ」と長塚は答えます。 KP向け情報  携帯で廃校について調べても、長塚が話した内容が出てくるだけです。  タイミングを見て、目的地に到着させるといいでしょう。 ☆車から廃校前に  車はやがて寂れた村で泊まります。  駐車場に停止し、長塚は「ここから先は歩いて行こう」と言います。  空はオレンジ色に染まりつつありました。  ぽつりぽつりと民家は見えますが、歩く人影はありません。  静けさの中、ただただあなたたちの歩く音だけが響きます。  そうして歩いて行ったところで、全員、目星をどうぞ。 →成功  少し離れた所に、バス停があるのを発見します。  よく見れば、ベンチに誰かが座っているのが見えるでしょう。杖をついた老婆のようです。 →老婆に話しかける  白髪の老婆です。  しわくちゃの顔から滲み出る温かさは、彼女の人の良さを表しているようでした。  彼女はぼんやりとした様子で空を眺めていますが、声をかければすぐにこちらに気が付きます。 「こんにちは」  老婆はニコニコして言います。  しかし、何を話しかけても以下の返答しかしません。 「ええそうよ私には孫がいるのよ」 「可愛い孫でねえ、この前中学三年生となったの」 「親友の空ちゃんとは本当に仲が良くてねえ、私にも良くしてくれるわ」 「ああ、本当に良い子よ愛。お前は本当に私の自慢の娘よ。やあねえ、本当よ」  ここであなたたちは気づいてしまいます。  彼女の手の中に、中学の制服を着ている少女の遺影があることを。  そしてこの老婆が、その遺影に向かって話しかけていることに。  遺影に話しかけるというぞっとする光景にあなたたちはSAN値チェックです。0/1D3でどうぞ。 KP向け情報  この老婆は、NPC園田愛の祖母である園田まい子です。  園田愛が亡くなったことにより、痴呆の症状が現れており、遺影を本当の彼女と扱っています。  もしも探索者に精神科や介護職に就いてる人間がいましたら、彼女が痴呆である事に気付かせても良いでしょう。  あるいは、原因不明のまま彼女の不気味さを醸し出すのもいいでしょう。 →老婆の前○通り過ぎた場合  あなたたちがその老婆の前を通り過ぎようとした瞬間です。 「あらあこんにちは」  ふとあなたたちは老婆に話しかけられます。  白髪の老婆です。  しわくちゃの顔から滲み出る温かさは、彼女の人の良さを表しているようでした。  彼女は穏やかな微笑を浮かべながら、あなたたちを眺めています。 KP向け情報  ここで老婆を無視する事は可能です。 →老婆を無視しなかった。  老婆は穏やかに話し始めます。 「ええそうよ私には孫がいるのよ」 「可愛い孫でねえ、この前中学三年生となったの」 「親友の空ちゃんとは本当に仲が良くてねえ、私にも良くしてくれるわ」 「ああ、本当に良い子よ愛。お前は本当に私の自慢の孫よ。やあねえ、本当よ」  ここであなたたちは気づいてしまいます。  彼女の手の中に、中学の制服を着ている少女の遺影があることを。  そしてこの老婆が、その遺影に向かって話しかけていることに。  遺影に話しかけるというぞっとする光景にあなたたちはSAN値チェックです。0/1D3でどうぞ。 KP向け情報  この老婆は、NPC園田愛の祖母である園田まい子です。  園田愛が亡くなったことにより、痴呆の症状が現れており、遺影を本当の彼女と扱っています。  もしも探索者に精神科や介護職に就いてる人間がいましたら、彼女が痴呆である事に気付かせても良いでしょう。  あるいは、原因不明のまま彼女の不気味さを醸し出すのもいいでしょう。 ☆老婆との別れ  老婆と意思疎通がうまくいかないあなたたちは戸惑うことでしょう。  戸惑っていると、ふと「ばあちゃん!」と焦った青年の声が聞こえます。  振り向けば、向こう側から二十代前半くらいの青年が駆け寄ってくるのが見えます。 「もう探したよ! 勝手にどっか行っちゃ駄目だって言っただろ?」 「愛はもっと太るべきだと思うわあ。だって折れそうじゃないの。ねえお兄ちゃんもそう思わない?」 はいはいそうだねーいいから早くうち帰るよ。っと、おお人がいる!?」  青年はそこでようやくあなたたちの存在に気付いたようです。 「うわわ、もしかしてばあちゃんに絡まれてました?  ごめんなさい、うちのばあちゃんちょっとぼけてて……ご迷惑をおかけしました!」  青年は慌てた様子で頭を下げます。  青年は、あなたたちとの話もほどほどにし、祖母であるらしいい老婆に声をかけます。 「さ、帰るよ」  と言って老婆を促しその場から離れていきます。 その際、彼が何か独り言をつぶやきますが……聞きたい場合は聞き耳でどうぞ。 →聞き耳成功 「まったく、空ちゃんは一体どこに行ったんだろ……久々にこっちに帰ってきたのに、見当たんないなあ」  困ったように青年が呟く声をあなたたちは聞くでしょう。  老婆と青年……恐らく青年と孫の関係なのでしょう。  二人の姿が徐々に小さくなっていくのを見送ったところで、長塚が先へ進もうか、と促します。 KP向け情報  この青年は、園田愛の兄である園田正です。  探索者と多少の会話はしてくれるでしょうが、初対面の相手なので長話や深い話はしてくれないでしょう。  もしも、園田正に廃校について聞けば、顔をしかめながらもとっくに廃校になった何もない場所と話します。  なお、この時園田正は、生き残りである柊空が戻ってきたのにどこにもいない事を訝し気に思っています。  が、空という人物について探索者が深く知ることはないでしょう。  もしも脅すなりの宣言があり、生命の危機に陥れば昔から知る女の子だという事などを話すでしょうが、警察に通報されます。 ☆廃校  あなたたちはようやく廃校に辿り着きます。  空は紫がかっており闇に包まれかけていました。  錆びた校門は脆く、今にも崩れそうです。  その向こう側にある学校はさらに古びており、長い間人の手が入っていないことが分かるでしょう。 →目星  二階建ての中学校のようです。小さな学校ですが、大きな体育館があるのが見えました。  プールなどはないようで、必要最低限しかない学校のようです。  長塚は実際に廃校を目の当たりにしてテンションがあがったようです。 「早く行こうぜ」と皆をせかし、古びた校門を軽々と超えていきます。 KP向け情報(お遊び)  跳躍ロールに成功すれば格好良く校門を飛び越えることが出来ます。  長塚は楽しそうに校門から校舎へ向かっていきます。  真っ先に見えるのは昇降口です。  昇降口のドアの鍵はどうやら壊れているようで「壊さずにすんだな」と長塚は喋りながらドアを開けます。  昇降口は非常に埃っぽいです。長い間人が足を踏み入れていないのでしょう。  蜘蛛の巣は張り巡らされ、下駄箱は厚い埃の帽子をかぶっています。 「おおー雰囲気あるなあ!」  長塚は怖がりながらも、その恐怖を楽しんでいる様子でした。  彼はそのまま昇降口の奥へと進みます。そして、その足がぴたりと止まります。  あなたたちは彼の視線の先を追うように見るでしょう。  夜だというのに、それはよく見えました。見えてしまいましたから、長塚が凍りついた理由も理解できました。  理解、してしまいました。  少年がいました。  少々古びた学生服を着た、至って普通の少年です。  短く切りそろえられた髪。たらりとたれる腕。そして、地面から数センチ浮く足。  それはロープで首を吊った少年でした。  少年は、ゆらゆらと体を揺らしながら、あなたたちを見てにやりと笑います。  SAN値チェックです。1/1D4でどうぞ。  あなたたちが呆然としていると、背後で勢いよくドアが閉まります。  そして再びあなたたちが前を向けば、首を吊った少年の姿は霧散していました。 「うわああああああああああああああああああああああ!!!!」  長塚は悲鳴をあげ、パニックに陥ったようでどこかへ走り去っていきます。 KP向け情報  この少年は亡霊です。  この長塚を捕まえるのは至難の技です。  もしも捕まえるという宣言をした場合、無理だということを伝えてください。  追いかける場合は、追跡を振らせると良いでしょうがあまりのスピードに追い付くことは不可能でしょう。  なお、長塚の行先は二階です。  勿論、無視して探索する事は可能です。  このタイミングで、KPは自由に校内を探索出来る事とマップ表示を行うと良いでしょう。  なお、現在の時間は六時半です。一か所探索するごとに三十分から一時間かかります。  途中で、園田愛を出現させることを忘れないように気を付けてください。 ーー1階ーー ・昇降口 ・理科室 ・音楽室 ・美術室 ・職員室 ・校長室 ーー2階ーー ・一年生教室 ・二年生教室 ・三年生教室 ・体育館 ・図書室 ☆特別探索個所 ・電話  なたが電話をかけると、少しの間を置いて通話が開始されます。  しかし、あなたがいくら問いかけても返答はありません。  おかしいなと思った瞬間、狂ったような叫び声があなたの脳内に響き渡ります。  SAN値チェックです。0/1D3でどうぞ ・窓  窓を覗けば、あなたは黒いなにかと目が合います。  その「黒いなにか」は、にやりと耳元まで口の端を上げ、狂った叫び声をあげながら消えていきます。  さて、そんな非日常的な光景にSAN値チェックです。1/1D3でどうぞ  またこの窓は鍵がかかっている訳でもないというのに開くことはありません。  また、どんなに強い衝撃を与えても壊れることはありません。 ☆昇降口  入った当初と何も変わりはありません。  首つり死体があった場所は何もなく、ただ埃が舞っています。 →昇降口のドア  昇降口のドアを調べると、何か不思議な力で閉ざされてることが分かります。  どうやっても開きません。 →目星  ではあなたたちは昇降口に免許書が落ちているのを見つけます。  門田 鉄という名前の五十代前半頃の男性のようです。  髪はふさふさです。 KP向け情報  この免許書は、最近作られた事が分かります。 ☆理科室  理科室に入れば、埃臭さが鼻を刺激します。その臭いにあなたたちは思わず顔をしかめるでしょう。  理科室に物は少なく、実験も出来る机と、埃が詰まった棚、人体模型くらいしかありません。 →目星  戸棚の奥を探っていると、ふとひんやりとした物に触れました。  引っ張ってみれば、それは埃まみれになっていますがどこかの鍵のようです。  名札が付いていますが「た 予備」としか書かれていません。 ※鍵を見つけた  ではあなたたちが鍵を見つけた時です。 「ふへは、ふ、ハハハハハハハハッハハハハハハハッハハハハハッハハ」  かたり、という音。あなたたちは見るでしょう。  まるで壊れたロボットのように、ぎこちなく体を動かす人体模型を。  本来動くはずのない物が動いた事によって、あなたたちは恐怖を覚えます。  SAN値チェックどうぞ。1/1D4です。  人体模型はその腕を動かしあなたたちに攻撃をしてきます。  ではここからターン制となります。 動く人体模型  STR14 CON12 DEX15 DB1D+4 HP16  こぶし40% 動く人体模型から逃げるには、DEX×5に成功する必要があります。  動く人体模型を壊す、あるいは逃げる間際、近くにいた人は聞き耳を振ってください。 →聞き耳成功 「イタイの、どうして、こう――」  悲痛な叫びが、あなたの耳に聞こえた気がしました。 KP向け情報  この人体模型は、殺された生徒の亡霊が乗り移った人体模型です。  基本的に攻撃動作はこぶしのみで避けることはしません。 ☆職員室  少し埃っぽい部屋です。  中はあなた方がよく見る学校の職員室とほとんど同じですが、職員用の机は三つほどしかありません。  当時の物がまだ残っているらしく、壁にはいくつかの写真があり、棚には不思議な置物がありました。  あなたたちが職員室に足を踏み入れた途端、どことなく居心地の悪さを感じました。  まるで、誰かに監視されているような気がします。  ではここで、まず全員アイディアをどうぞ →アイディア  あなたたちはふと気が付きます。  この誰かに監視されているような気持ち悪さの原因に。  それは、壁にかかっている一枚の写真からでした。 写真  何枚かある写真の内、その写真に写っている人数が一番多いです。  三人の教師らしき大人と、数十人の生徒の姿が見えます。  教師もどの生徒も楽しそうに笑っていますが、あなたは気が付きます。  写真に写る三人の内一人の女性の視線と、あなたたちの視線が交わっていることに。  女性は時折瞬きをして、じっとあなたたちを凝視しています。  部屋に足を踏み入れた瞬間の居心地の悪さの原因は彼女に見られていたからだ、とあなたは悟るでしょう。  では、写真の女性があなたたちを見ていることに気が付いたあなたは、SAN値チェックです。1/1D3でどうぞ  そしてあなたが呆然としていると、ふと女性はパクパクと口を動かします。  そのまますっと視線をそらしどこかをじっと見つめます。  そして再びあなたに視線を合わせ、困ったような顔をします。 →追跡か目星  では彼女が、ある一つの机の下をじいっと見つめていることが分かります KP向け情報  この女性は、唯一の女教師であった篠原優実です。  彼女は、他の生徒のように拷問される事なく死亡したので、あまり憎しみを募らせることはありませんでした。  その為、他の生徒の亡霊のように探索者達に恐怖を与えることはせず、むしろ柊空を救ってほしいという願いを持っています。  しかし彼女は写真の中にいることしか出来ず、また喋ることは出来ません。  なお、この写真を持ち運ぼうとすれば物言わぬただの写真になります。 机 机は非常に埃っぽいです。特に何も置かれてはいません。 →目星またはデスクの下を調べると宣言  ではあなたが埃っぽさに顔をしかめながら机の下を調べると、隙間に埃をかぶった紙が出てきます。  随分と古い紙のようです。一部分汚れがこびりついていて、読めない所があります。 紙の内容 「●●●●パ●ワード●体●館にありま●。  忘れ●●はそちら●見てください。」 KP向け情報 紙の内容(正解) 「校長室のパスワードは体育館にあります。  忘れたときはそちらを見てください。」  正解の内容は、PLの行動によっては公開しても良いでしょう。  勿論分からないままに推理させるのも良いと思います。 棚  棚には不思議な置物がいくつか並べられています。  引き取り手がいなかったのか、理由は不明ですがどれも分厚い埃をかぶっています。 →オカルト  ここに並べられている置物全ては、どれもこれもオカルトに関連するグッズであることが分かります。 KP向け情報  このオカルトグッズは校長の趣味によって集められたものです。 →部屋全体に目星  部屋全体に目星をすると、当時使われていたらしき鍵があります。  各部屋に予備の鍵を含め二つずつあるようですが、体育館の鍵だけは一つもありません。 ☆美術室  中に足を踏み入れると、そこはあなたたちがよく知る美術室と同じでした。  何人かでまとまって座れるようにと用意されている大きな机といくつかの椅子が置かれています。  が、どれも分厚い埃をかぶっていてとてもじゃありませんが座る気になりません。 →目星  ゴミ箱に、切り取られた雑誌の記事がぐしゃぐしゃに丸められて捨てられてました。  広げてみれば、そこには四年前の集団失踪事件の関係者である坂原竜という男が病気で死亡したことが書かれています。  また、記事には集団失踪についてが面白おかしく書かれています。  犯人は事件の日に休み一人だけ助かった女子生徒ではないかということ。  また、彼女は坂原氏が死ぬ寸前に彼の元に見舞いに来たらしい。というような事も書かれています。 KP向け情報  この雑誌は、柊空のものです。  彼女がこのゴミ箱に記事を捨てていきました。 ☆音楽室  よくある一般的な音楽室です。  グランドピアノにホワイトボード。  いくつかの椅子。  壁には有名な音楽画家の肖像画がかかっています。  部屋は薄暗く、陰鬱な雰囲気を漂わせていました。 →目星  部屋の隅に、厚い埃をかぶった紙があります。  どうやら、生徒同士がこの紙を使い会話をしていたようです。 「篠先生遅くない?」 「さっき校長先生に呼ばれてから帰ってこないよね」 「リコーダー吹くの飽きちゃったー」 「そういえば、体育館の予備の鍵がなくなっちゃったらしいよ」 「あーあれね。噂じゃあ三年の先輩が失くしちゃったみたい」 「あ、それうちの科学部の部長だわ(笑)」 「ちょっと待って坂原来たから一回これどっか置いとくよ」 KP向け情報  生徒同士の雑談の様子です。  この坂原によって、この後この雑談している生徒たちは地下へ行き殺されます。 →部屋を出る  あなたたちが音楽室を出ようとした瞬間です。  クスクスと笑い声がどこからともなく聞こえてきました。  笑い声はだんだんと大きくなっていき、やがてそれは、甲高い女性の悲鳴となっていき、 ガタンッッッッ!!!!  盛大な音をたて、壁にかかっていた肖像画が一斉に落ちました。  このような恐怖を味わった探索者の皆様、SAN値チェックとなります。0/1D3でどうぞ。 肖像画  肖像画を見れば、そこには赤い血の文字で「イタイ」と書かれています。  それも全ての肖像画に、まるで指で描いたかのような血文字です。  さきほどの悲鳴と合わさり、あなたたちはこの光景により一層恐怖心が煽られるでしょう。  SAN値チェックです。0/1でどうぞ。 →目星  肖像画の裏を調べてみれば、「一年生も二年生も三年生も皆」という文字が血文字を発見するでしょう。 ☆校長室  校長室は暗くほとんど中が見えません。  そのため、目星などの「見る」関連の技能は全て半分となります。  明かりがある場合は、それを使用することで技能−はなしとなります。 →明かりを照らす  明かりをつけると、校長室内がよく見えます。  埃をかぶった書斎机に椅子。そして、壁にはぽつんと本棚が置かれていました。  暗いため、全体を目星するのは少々難しいです。目星の際は、どこに対して行うかの宣言をお願いします。 書斎机  何も置かれていない机です。 →目星  調べてみても何もないことが分かります。  ただ、埃をかぶっていないことが分かります。 本棚  本棚には一冊のノートがあります。古いノートのようで、どうやら日記のようです。 日記、読みますか? →はい YES  どうやら、ここの校長の日記のようです。その大半は愚痴のようです。 「七年前  校長としてここに就任することになった。なんで俺がこんな辺境の地で教えなきゃいけないんだ……。  六年前  新しい新任がきた。  若い女で見た目も悪くないから良いと思ったが……。  どうにもドラマなどで熱血教師に憧れたクチらしく煩わしいったらありゃしない。  生徒も彼女を慕っているようだし、気に食わない。  そういえば、西洋から変わった書物を手に入れた。  まだ読んでないが読むのが楽しみだ。屍食教典儀というタイトルらしいが、どういうものなんだろうか。 五年前  いえ!いえ! シュブ・ニグラス! いえ!いえ! シュブ・ニグラス! いえ!いえ! シュブ・ニグラス!  この方に全てを捧げよう! その為にはたくさんの生贄が必要だ!!  だが生贄はどこで手に入れる? 簡単だ。だってこの学校に生贄はたくさんいるのだから!!  ああそうだ、魔道書の研究ノートは図書室に置いておこう!  木を隠すには森の中だからな! 運が良ければ、あの方の信者が増えるかもしれないしな! 五年前  坂原は買収した。  ただ篠だが俺たちが何かよからぬことをしているのではないかと勘ぐってきた。  煩わしい。ああそうだ、彼女を一番最初に生贄としよう。  ああそうだ、そうしよう。そうしたら、坂原を使って一年生から順にやっていこう。  大丈夫だ、それ専用の部屋があるから警察にも誰にもばれずに、捧げることが出来る。  ああ楽しみだ、いえ!いえ!シュブ=ニグラス!」 本棚に目星  本棚を調べてみると、この本棚には何度か動かした形跡があることが分かります。  本棚を動かす場合は、STR×5でどうぞ。 →STR×5  本棚を動かすと、人一人が通れるくらいの小さな扉が出てきました。  どうやら、別に部屋があるようです。  しかし、この扉はどうやら数字を入れることで開くタイプのようです。  また、力ずくで開けようとすれば中に入れなくなってしまいそうです。 KP向け情報  ここのパスワードは体育館で手に入るパスワードです。  ここのパスワードを入力すると、この扉から地下に行くことが出来ます。 ☆地下室  数字を打ち込むと、扉は簡単に開きます。  中は暗闇が広がっていましたが、ぎりぎり下に降りる階段があることがあなたたちは分かるでしょう。  また中は狭く、人が一人通るのがやっとです。  そんな階段を目の前にしていると、ふと愛が姿を現しました。 「ええ、なにこれすごーい。校長室にこんな隠し部屋があるなんて初めて知った!  そういえばこの学校、昔ここに住んでた偉い人の屋敷を改造して作ったって聞いたことあるから、その名残かな?」 「ねえ私も後ろからついていくね。ちょ、ちょっとこの下になにがあるのか気になる、し。  その代わり後ろはしっかり守るから安心して!」  愛は、ワクワクとした感情を隠し切れない様子です。  また中は狭く、人が一人通るのがやっとです。  階段を降りるなら、一列になって降りていくしかないです。  また、明かりを持たずに中に入るのでしたら、幸運を三回振って無事に降りれたかどうかのロールを行います。  下まで降りていくと、ふと先頭のあなたは明かりがあることに気が付くでしょう。  下まで完全に降りれば、それがろうそくの光であることに気が付きます。  そして、その場にいる全員が、この隠し部屋に何があるのかを見ることでしょう。  その部屋にあったのは、大量の白骨化した遺体です。  それも一つだけではありません。何十という人間の死体があなたたちの前に積まれています。  そして、白骨化を見た瞬間にあなたたちは、鼻につく腐臭に気が付くでしょう。  そして、壁にこびりついた大量の血の存在にも目がいくでしょう。  ここで非人道的な行いがされていたとしか思えないような光景が、そこにありました。  普通に生活していたのなら、まず目にすることのない光景でした。  SAN値チェックです。1/1D8でどうぞ。  あなたたちが凄惨な光景に言葉を失っていたその時です。 「……あ」  震えた声が耳を刺激します。愛の声です。  あなたたちが見れば、愛はがくがく震える掌で口元を覆い、ふるふると首を振ります。  まるでなにかを否定するかのような動作でした。  次の瞬間、愛は自身の耳を塞ぐと「いやあああああああ!!!!」と悲鳴をあげ階段を上がっていきます。 →後述のイベント、幽霊少女の死を参照 →死体の中に目星  よくよく見れば、白骨化した死体の下になにか赤黒いもので書かれた魔法陣があります。  まるで漫画に出てくるようなお粗末なものです。相当前に書かれていたらしく、古びていることが分かります。 →目星2  では、一枚のメモを発見することが出来ます。 「今日、私は皆をここに蘇らせる。そして、あいつに復讐をしてやるの。  今夜12時。屋上で私はあいつがやったことをあいつにやって、そうして皆の力を借りてあいつをやっつけるの。  そうしたら、きっと皆も嬉しいよね。嬉しいはずだわ。愛だって、きっと喜んでくれる。」 KP向け情報  魔法陣は、校長がかつて行った儀式の名残です。  メモの方は、この場所を発見した時の柊空の手記となります。 ーー2階ーー ☆体育館  体育館には鍵がかかっています。  頑丈な作りのため、力ずくで開けるにはブルドーザーでも持っていなければ無理でしょう。  ゆっくりと重たい扉がスライドし開きます。  体育館は不気味なほど静かでした。あなたたちは、そのひんやりとした空気に身を震わせるでしょう。 →目星  体育館を見て回ると、ふと朝会の時などに使用される教卓の裏に紙きれがあるのを発見します。 「0130」  という数字が小さく紙に記されています。  なお、幸運でも可 →体育館を出る  あなたたちが体育館を出ようとすると、ふと愛が姿を現しました。 「あ、体育館だー」 「私ね、生きてた頃はバスケ部だったんだよ!毎日この体育館でバスケしてたんだ! 「……まあ、部員は私と空ちゃんだけだったんだけどね」 「でも楽しかったなあ。毎日シュートの練習をたっくさんしたの。  あとね、時々さやちゃんやるうちゃんが料理の差し入れしてくれてたんだ。クッキーとっても美味しいんだ」 「空ちゃんと毎日たっくさん練習して……練習して…………。  でも、私もう死んじゃってるんだね。えへへ…………」 KP向け情報  探索者が話しかければ、愛は答えます。  日常の下らない事もいくつか話してくれるでしょう。  また、空という人物についてや、さやちゃん、るうちゃんなどについては小学校からの友達だと答えるでしょう。 ☆図書室  図書室は、誰も引き取り手がいなかったらしい本が本棚に残っているのが見えました。  ただ、どれも長い間、人の手が触れてなかったため厚い埃をかぶっています。触るだけで埃が舞いそうです。 →図書館  では、「屍食教典儀に関する研究ノート」というタイトルのノートを発見します。 「屍食教典儀に関する研究ノート」  全てを読むには一時間ほど時間がかかりそうです。 →読む  どうやらこの本は、屍食教典儀という本についての考察が書かれているようです。  屍食教典儀という本は、世紀の変わり目頃にフランスに屍姦や黒魔術がはびこっていたという事実を主張している本のようです。  ノートにはその黒魔術や屍姦についての詳細、および考察が長々と書かれています。  そして、ノートの中にはさらに、ビヤーキーという怪物についてやシュブ=ニグラスの招来方法について書かれています。  そして、最後のページを見れば赤い文字で、 「いえ!いえ! シュブ・ニグラス! いえ!いえ! シュブ・ニグラス!いえ!いえ! シュブ・ニグラス!  いえ!いえ! シュブ・ニグラス!いえ!いえ! シュブ・ニグラス! いえ!いえ! シュブ・ニグラス!  いえ!いえ! シュブ・ニグラス!いえ!いえ! シュブ・ニグラス! いえ!いえ! シュブ・ニグラス!  あなたのために、贄を捧げましょう!!いくらでも!!何回も!!!!」  それは、正常な人間が書いた事だとは思えないものでした。  頭痛を起こすほどに崇める文字に、ノート自体に生理的嫌悪を覚えるでしょう。  ではここでSAN値チェックです。1/1D6でどうぞ。 →部屋全体目星  ふと、机の下に一冊のノートを発見するでしょう。  埃をかぶっている様子もなく、真新しいノートです。  タイトルは何も書かれていません。 謎のノート 「亡霊の呼び出し方  接触したい人間の墓石の上にあるいは遺灰(遺骨)に触れる。  この呪文を応用すれば、かつての仲間たちを再び目覚めさせることが出来る。  そうしたら、私の望みはようやく叶うのだ。  ごめんね。ずっとずっと苦しかったよね。今楽にしてあげる。  あなたたちの望みを、叶えてあげる。  だから、安心して。  私があなたたちを楽にしてあげるために、呼んであげる。全ては12時に」  流麗な、それでいてどこか狂気を感じさせる文字が並んでいました。  さて、これを読んだ方は「亡霊に命令する」呪文を覚えることが出来ます。  呼び出したい者の遺灰あるいは遺骨、あるいは墓石に触れて10マジックポイントと1D3のSANを消費で可能です。 ☆一年A組  教室の扉を開けた瞬間、あなたたちは驚いたことでしょう。  その教室は、まるで台風がきたかのように、机や椅子が転がっていたのですから。 →目星  では、あなたは一枚のメモが落ちているのを発見します。  震える筆跡で書かれているメモです。 「なんでなんでこんな目になんでおかしいおかしい!!  なんでだってあいつらはあいつらは死んでなんでそんな、ああ助けてください!!  いえいえシュブ=ニグラスいえいえシュブ=ニグラス!!!!あああいつらくる!!  笑い声が!! ああどうして俺はあの日、柊空の存在を忘れていたんだ!!   いやそもそも、どうして柊空に俺のやったことがばれたんだ!!」  そして、そのメモのすぐ近くに小さな血だまりがあることんい気が付くでしょう。 KP向け情報  これは、柊空という存在が自分を殺そうとしている事に気付いた元校長門田の手記です。  亡霊によって、この場所で争い、屋上へ連れて行かれました。  血は、亡霊に対し抵抗した門田の血です。 ☆二年A組  埃っぽいですが、至って普通の教室です。 →目星  窓際の一番後ろの席に、学生証と手帳が落ちていることに気が付くでしょう。  大分古びていますが、持ち主は非常に大事に扱っていたのがなんとなく伝わってきます。  学生証には、柊 空という女子生徒の名前と活発そうな少女の写真が載っています。  さらに中を開けば、一枚の写真が出てきました。  学生証に乗っていた活発そうな少女と穏やかでほんわかとした雰囲気の少女が笑顔で写っています。 ・愛がいる場合  あなたたちは、片方のほんわかとした雰囲気の少女が愛だということに気が付くでしょう。 →愛に写真について聞く 「あれ、ああこれ空ちゃんと私だ!!」 「空ちゃんと私は幼稚園から一緒なんだよ。空ちゃんってすごく格好いいんだあ」 「……そういえば最後に空ちゃん見た時、風邪を引いてたなあ。大丈夫かな。  ……って言っても、さすがにもう治ってるよね……ははは」  そう言って愛はとけるように消えていきます。 手帳  どうやら日記の役割を担っていたようです。  丁度一年前からの出来事がぽつぽつと書かれています。 「今日、坂原に会った。どうやら病で死ぬ寸前らしく、意識は混濁しているようだった。  どうやら自分が何を言っているのか分からなくなっているらしい。  だから、坂原が言ってたことが虚言の可能性もある。……そう、虚言の可能性もあるのだ。  愛のおばあちゃんの様子を見に行った。  やっぱり愛を失ったことのショックが大きいみたいで相変わらず遺影に話しかけている。  あたしは失踪事件の情報はないかと学校に行って、ありえない本を見た。  ……あの字は校長先生のだった。なら、集団失踪の犯人は。そしてその目的は。  だとしたら、  絶 対 に 許 さ な い  あたしもオカルト関連について調べてみることにした。  そうしたら、海外のアーカムという所に住んでいるらしい友人が興味深い本を送ってくれた。  この本を使えば。この本を使えば。  この本を使えば、あたしは、あたしは愛達の無念を晴らすことが出来るかもしれない。  だけど、たくさんの生徒を一気に現世に呼び戻すなんて不可能だ。可能にする方法を見つけないと。  不思議な古物の店で、不思議な石を見つけた。  綺麗な紅色の石だ。宝石ではないらしいのが不思議だ。  なんだかこの石を持っていると不思議な感覚になる……もしかして、この石を使えば」  その後のページは引きちぎられています。  KP向け情報  柊空の手記です。  柊空が、集団失踪事件の真相を坂原から聞き、校長の目的を知った経緯が書かれてます。 ☆三年A組  扉はしっかりと閉まっています。 →開ける  では全員、回避かDEX×5を振ってください。 →回避orDEX×5成功  では、あなたたちの脇を、黒いもやもやとした影が突風のように過ぎ去っていきます。  一瞬遅れて、狂ったような叫び声をあなたたちは聞くでしょう。 →回避orDEX×5失敗  教室の扉を開けた瞬間のことです。  あなたの眼前に唐突に黒いもやもやとした影が現れるでしょう。  避けようとしますが、咄嗟の事なのであなたの身体は反応は出来ませんでした。  そのままあなたは黒いもやもやによって床に叩きつけられるでしょう。  ダメージです。1D3でどうぞ。  黒いもやもやはそのまま狂った叫び声をあげながら、どこかへと去って行きます。 KP向け情報  亡霊です。  探索者がこれを追いかけようとしても、その姿はすぐに闇に紛れ消えてしまうでしょう。  亡霊は、教室で長塚を殺害した後となります。 →教室を見る。  あなたたちが教室に目をやると、どす黒い赤が目に入りました。  べしゃりと、まるでペンキをこぼしたように教室の奥は赤が散乱しています。  あなたたちはその赤を、ただの赤だと認識することは不可能でしょう。  だって、辛いほどの鉄の匂いが鼻を刺激するのだから。  あなたたちはその赤が、血だということを正確に理解してしまうことでしょう。 →教室の中に入る  教室の中に入り、周囲を見回せば、あなたはそれを見るでしょう。  教室の床に転がるそれ。  そこにあったのは、あなたたちの友人、長塚の死体、と思われるものでした。  無残に引き裂かれた体からは、内臓らしきものが見え隠れしています。  その顔は、絶望に彩られており彼が凄惨な最期を迎えたことは一目で分かります。  では、友人のそのような死体を見てしまったあなたたちは、SAN値チェックです。1/1D6 →医学  長塚の身体は、無残に引き裂かれています。  医学の知識があるあなたには、これが人間業ではないことがはっきりと分かるでしょう。  故に、分かったからこその恐怖が生まれます。SAN値チェックです。0/1D3でどうぞ。 ☆幽霊少女の言ノ葉(園田愛との出会いイベント (2、3か所ほどの部屋を見た時点で)  では部屋を出た探索者は目星をどうぞ。 →目星  では、あなたたちはふと視界の端に白いひらひらとしたものを見かけます。  白くてひらひらとしたものです。 ※追いかけなくっても再び次のマップを移動した時に出ます。 →なんなのか確かめようとした場合。  あなたたちがそれを確かめようとそちらに目をやれば、その存在を認識することは可能でしょう。  そこにいたのは、一人の少女でした。  まだ年若い、恐らく中学生くらいのセーラー服を着た少女です。  そして、その身体はうっすらと透けており、足は宙から十センチほど浮いていました。  彼女がこの世のものではないことは、一目で分かります。  日常ではまず見られないその姿に、SAN値チェックです。1/1D6でどうぞ。 KP向け情報  もしも老婆と出会っているのでしたら、アイディアを振らせてください。 →アイディア  成功したあなたたちは気が付くでしょう。  この廃校に入る前に出会った老婆、彼女が抱えていた遺影のほんわかとした雰囲気を持つ少女。  そして、今この目の前にいる少女。  その姿が、ほぼ似ていることに。  この少女が既に死んでいるという事実を認識するので1/1D3+1どうぞ。 KP向け情報  この少女の正体は、園田愛です。 ☆幽霊少女のお願い 「えーと、こんばんは?」  探索者たちが驚いていると(発狂していたのなら発狂終了した)  少女は少し戸惑った様子で話しかけてきます。 「ねえ。お兄さん(お姉さん)お願いがあるんだけど、どうか助けてほしいの」  戸惑う探索者に近づき、少女は必死な様子で懇願してきます。  何を助けてほしいのかを聞けば、一瞬きょとんとした顔をし首をかしげるでしょう。   「……え、そういえば、なんだろう? うーん、とにかく助けてほしいっていう感情だけあって……」  と、少女は自信なさげに答えます。 KP向け情報  ここからは、PCのRPに合わせる形で答えていく事になるでしょう。  ただ、ある特定の質問には以下のように答えます。  ここに載っていない質問をされた場合は ・園田愛が自分は死んでいるが死んだときは覚えていない ・園田愛は昨日まで平凡に過ごしていた ・園田愛には親友がいる ・園田愛は探索者に助けてほしいと思っているがそれがなんなのか思い出せない  という事を留意点としてお願いします。  また園田愛は以下の情報を持っています。  少女、園田愛は、以下の情報を持っています。 ・自分が死んでいること ・自分が死ぬ直前の数日前の記憶がないがそれ以外の記憶はある ・意識が浮上したのは探索者たちが学校に入って来た辺り ・今学校で起こっていることは分からない Q幽霊なのか 少女「うんそうみたい。死んだときの記憶はないのだけど、私、多分死んでるー!」 Q名前 「私の名前は? ええっとねーたしか園田愛だよ!  愛って呼んでね! そういえばお兄さん(お姉さん)達の名前は?」 「そっかー、それじゃあよろしくね!」 Q追いかけてきた訳 「私ずっと助けてほしくってね、でもお兄さん(お姉さん)達ずっと気付かないし。  でも助けてほしくって、気づかないかなってずっと追いかけてたの。だから、見つけてくれてすごく嬉しい!」 Qここの学校の生徒か。 「うんそうだよ。三年A組の生徒なんだ!」  一通り会話をすると、園田愛はあなたたちにお願いをしてきます。 「ねえ私をどうか連れて行ってくれない?  お兄さんたち(お姉さんたち)についていけば、私もなにをどうして助けてほしいのか理由が分かる気がするんだ」 →拒否した場合 「そ、そっか……嫌なら、しょうがない、よね……ごめんね迷惑かけて。それじゃあ、ばいばい」  そう言って園田愛は宙に消えていきます。  目の前で消えるという現象は、彼女が幽霊だという事実を改めて突き付けられているようでした。  それを見たあなたたちはSAN値チェックです。1/1D3でどうぞ。 KP向け情報  園田愛は重要な情報を持つNPCなので、拒否する場合は本当に良いか念押しするなどするといいでしょう。  園田愛と行動を共にしない場合は、トゥルーは不可能となります。 →承諾した場合 「ほ、本当! 嬉しいよありがとう!!」  少女は満面の笑みを浮かべくるくるとその場を回ります。  では、ここから少女園田藍があなたたちのPTに加わります。  少女もいくつか技能を持っているので、あなたたちが頼めば彼女の技能を使うことが出来ます。  また、彼女はあなたたちについていきますが、体力を温存することを理由に普段は姿を消し眠っています。  時々起きて姿を現したり、あなたたちが呼べば無条件で姿を現してくれます。  愛を呼べば、愛と会話することも可能です。 ☆幽霊少女の死(地下室に行った後のイベント)  校長室まで戻れば、愛が部屋の隅で小さくなり震えていることが分かります。  近づけば「なんでどうしてだってだって」とブツブツと呟いているのが聞こえてくるでしょう。 →目星  愛の身体……足の辺りが、黒いもやもやのようなものに包まれていくのが見えます。 KP向け情報  園田愛が、他の亡霊と同じように憎しみで我を忘れてる状態になることを指しています。  記憶を取り戻した事により、他の亡霊と同じ状態になりそうになっているのです。 →精神分析、説得  愛はあなたの言葉に元の自分を取り戻すことでしょう。 KP向け情報  精神分析、あるいは説得で愛は正気に戻ります。  なお、説得は好感度によって+してもいいかもしれません。  正気に戻った愛は「取り乱してごめんね」と硬い表情のまま言います。  そして「話したいことがあるの」とあなたたちに告げます。 KP向け情報  皆集まっていない場合は、愛は全員を集めてくれるようお願いします。  愛は全員を見回し、一呼吸置いてから話はじめます。 「……私ね、この学校が好きなの。友達がいて、大好きな先生がいるこの学校が好きだったの。  ……そんな大好きな学校で、何があったのか……あなたたちは分かった?」  ではここで、この学校で何があったかを話してみてください。  今までの情報を元に、この学校で起こったことをPLの方々でまとめて、お話しください。 →正解だった場合 「うん。そうだよ。凄いね、お兄さん(お姉さん)達……」 →失敗だった場合 「……そう。お兄さん(お姉さん)達は何があったのか分からなかったんだね……」  愛のその体は、徐々に黒いもやもやと化してきています。 「私ね、全部思い出しちゃった。思い出しちゃったから、もう駄目みたい」 愛が話した事をまとめるとこうです。 ・自分達は、亡霊としてこの地に呼び出された ・亡霊達はかつてのこの学校の生徒達で、校長によって殺された。  その凄惨な最期のせいで憎しみのみで動いている ・愛は、他の子達と同じように憎しみのみで動かないよう自分の記憶を消して、助けてくれる人を探していた  以上を話すと、愛はこのまま我を忘れた状態にならないように今ここで消えることを告げます。  そして、あなたたちに懇願します。 「ねえ、お願い。空ちゃんを助けてあげて。  私ね、空ちゃんを助けてあげたいからこの姿になったの。  空ちゃんがどうしたら助かるかは分からないけど私に出来る事ならする。  だから、お願い。どうか架け橋になって。お願い。空ちゃんはきっと屋上にいるから  屋上に、きっと彼女はいるから。  これが、私の、私たちのお願い。ずっとずっと忘れててごめんね。」  愛はさらさらと溶けるように消えていきます。  そして、からんと一本の骨が音をたてて床に落ちます。 KP向け情報  この骨は、屋上で愛を呼び出すことの出来るものです。  トゥルーエンドへの鍵となります。 ☆ 悪い子は駄目だよ 屋上の扉はボロボロで、今にも壊れそうです。 →聞き耳 男のうめき声が聞こえます。  扉を開ければ生温い風が頬を撫でます。  屋上では、血だらけになった男が倒れています。  時々、苦悶に満ちた声をあげているのが聞こえるので生きてはいるようです。  そのすぐ近くには、一人の女性が立っていました。  どこか活発そうな雰囲気の女性です。  彼女は、冷ややかな視線で男を見下していましたが、あなたたちに気が付くと氷のような眼差しを向けてきます。 「なあに。あなたたち……あたしに何か用?」  そう言って彼女は手にある包丁を威嚇するように見せつけてきます。 「ねえ、あなたたちにこの男について教えてあげる。  この男はね、よく分かんない神様とやらに惚れて、その神様のために犠牲にしたのよ。  ……ね、あなたたちも見えるでしょう。  だってすぐそこにいるじゃない。この男に恨みを持つ生徒たちを」  ここであなたたちは、屋上の周りに黒いもやもやとした物に気が付くでしょう。  その黒いもやもやは徐々に薄れていき、あなたたちは見るでしょう。  首がなかったり、内臓が飛び出ていたり、全身が血みどろだったり……幸せな最期を迎えたとは思えない亡霊達でした。  見るだけで背筋が凍る亡霊たちが、ずらりと取り囲むように屋上を囲っていたのです!  そんな冒涜的な光景を見てしまったあなたたちはSAN値チェックです。  1/1D10でどうぞ。  女性は優雅に微笑みます。 「ねえ校長先生、見えますか?ここにいる人達は皆あなたに無残に殺されたあなたの可愛い生徒たちですよ」 「ああでもあたしは少し違いますね。あたしは、クズに友達を全て奪われた可愛い生徒、柊空ですよー」  まるでからかうような口調で柊空は言います。  彼女は、校長先生から目をそらし、あなたたちを見据えます。 「この男がどれだけ恨まれているのか分かった?  分かったら、邪魔をしないでちょうだい。何もしなければあたしは手を出さないから、ね」  眉をハの字にし、まるで聞き分けのない子を相手にしているような表情であなたたちにお願いしてきます。 →邪魔しない事を選択  後述バッドエンド「何も残らない」へ →探索者が邪魔すると宣言した場合 「そう、あたしの邪魔をするのね……分かったわ」  柊空の瞳に殺意が宿ります。  ではここから戦闘ターンです。柊空は持っている包丁を使いあなたたちを殺そうとしてきます。  あなたたちは自由に行動してくださって構いません。攻撃するのもいいですし、逃亡するのも良いでしょう。  さて、どうしますか? 柊 空 STR10 CON15 APP12 DEX13 SIZ9 HP12 こぶし(包丁)50 キック80 回避50  なお、柊空特殊な石を使いMPの壁を無意識に持っている。  そのため、12のダメージを与えないと本体にダメージは入らない。 →柊 空を説得。愛の名前を出した場合 「あんたたちにあの子の気持ちが分かってたまるかっっ!!  冗談でもあの子の名前を語ったこと、絶対後悔させてやる!!」 KP向け情報  柊空は話を聞く様子はありません。  少なくとも今この状態のまま、探索者と対話することはないです。 →死亡、あるいは気絶させた場合  後述ノーマルエンド「復讐者の嘆き」 →呪文を使用した場合 ☆トゥルーエンド「少女の願いの行く末」  あなたたちが呪文を唱え終わると同時に、白い光が舞います。  現れたのは、血だらけの少女です。  しかし、こちらを振り向いたその顔は、さきほどまであなたたちと話しをしていた愛彼女でした。 「あ、い」 「……空ちゃん。よかったぁ、会えてよかった。ありがとうお兄さん(お姉さん)達」  愛はあなたたちに微笑むと、柊空の頭を優しく撫でます。  しかしその手は親友の頭を撫でることはなく、するりと通り抜けました。  愛は一瞬だけ自身の手を見つめると「えへへ」と小さく笑います。 「なに、がそんなに嬉しいの」 「だってね、空ちゃんが生きているって思ったから。  ね、空ちゃん、一つ良いことを教えてあげる。  あのね、あのね、私たちはね、空ちゃんが幸せであるのが、一番嬉しいんだ」  そう言って、愛の体は溶けるように消えていきました。  最後にあなたたちを見て、愛は穏やかに微笑みます。  その口が、ありがとうと動いたのを見ることでしょう。  次の瞬間、その体は完全に消えて、見なくなりました。  後に残ったのは、座り込んだ柊空だけです。  茫然とした様子で、彼女はその場に座り込んでいました。 KP向け情報  探索者達が声をかければ、柊空は顔をあげることでしょう。  ぽろぽろと涙をこぼし、ただ泣きます。  屋上に残ったあなたたちの耳に、やがてパトカーのサイレンが聞こえてきます。  あなたたちは、行方不明となった男がこの廃校にいることを掴んだ警察によって保護されるでしょう。  柊空は、疑いの目がかかっていたらしく、あなたたちとは違うパトカーに乗せられます。  パトカーに乗せられる瞬間、柊空が一瞬だけこちらを見つめたような、そんな気がしました。  その目は優しく、それでいて罪悪感を秘めているように思えました。  彼女の唇が、ごめんなさい、という文字を紡いだのは気のせいだったのでしょうか。  あなたたちは友人である長塚の葬式帰り、雑踏の中を歩いていました。  ではここで全員、目星をどうぞ。 →目星  あなたたちはふと雑踏の中に、友人を亡くしたきっかけである廃校に行った日に出会った老婆の姿を見ます。  と同時に、あなたたちは、老婆に話しかけられます。 「あら? あらあらまあまあ」  老婆は穏やかな顔であなたたちを見ています。その手には相変わらず遺影があります。 「……あなたたちに言いたいことがあったのよねえ」 「あら、あなたたちも誰かを亡くしたの?  いやねえ愛ちゃん。怖いわねえ。  でもねえおばあちゃん、人が死んだ時に何が怖いかって言われると、変わらない日々が一番怖いわあ」 「ううん、怖いというよりも、寂しい、かしらねえ……」 「うん? なあに愛ちゃん? え?  ああそうねえそろそろ空ちゃんの所にいかないとねえ。  精神病院はどっちだったかしら……ああそうねえ、あっちだったわねえ」 「ああそうだ。あなたたちに言いたいことがあったのよねえ」 「ありがとう。伝えてくれて。私の大事な子の命と心を救ってくれて」 「……なんだか無性に言いたくてねえ。ごめんなさいねえ」  老婆はしわくちゃな顔に笑みを浮かべ、去って行きました。  相変わらず、ぞっとする光景でした。  しかしどうしてでしょうか。  老婆のお礼は、慈愛に満ちていて、いつまでもあなたたちの心に残りました。 シナリオクリア報酬  生還した1D6  園田愛の願いを叶えた1D6  柊空の命を救った1D6 ☆復讐者の嘆き(ノーマルエンド)  柊空を気絶(あるいは死亡)させた瞬間です。  ……亡霊たちは静かに消え失せていきます。  後に残ったのは倒れた女性と、痛みにうずくまる男だけです。  やがて、全てを終わらせてしまったあなたたちの耳に、パトカーのサイレンが聞こえてきます。  あなたたちは、行方不明となった男がこの廃校にいることを掴んだ警察によって保護されるでしょう。  しかしあなたたちに関してはただの目撃者と片付けたかったのか、あっという間に警察から解放されます。  そしてあなたたちは、いつもの日常に戻ってきました。  穏やかで平凡な日常です。 →もしも柊空が気絶させられて生きてた場合  平凡な日常を過ごしているあなたたちは、ふと何かの拍子でラジオやテレビを付けるでしょう。  たまたまニュースを放送していたらしいそれから、淡々とした内容が耳に入ります。 「速報です。ある市で、自殺したとみられる死体が発見されました。  警察によると、死体は柊空という名前の女性と考えられるそうです」 シナリオクリア報酬  生還した1D6 ☆何も残らない(バッドエンド) 「そう、ありがとう!  それじゃあ、少し早いけども始めましょうか!」  柊空は満面の笑みを浮かべると、パチンと指を慣らします。  途端、耳を劈くような悲鳴が周囲からあがります。次の瞬間、亡霊たちが一斉に男に集まります。  瞬間、男の断末魔が闇に響き、やがてそれは小さくなり消えていきました。  それと同時に亡霊たちの狂った叫び声をあげながら消えていきます。  そして、あなたたちは見てしまうでしょう。  そこにあったのは死体といっていいのか。  かつては人として生きていたという事実が信じられないほど凄惨な光景でした。  SAN値チェックです1/1D8でどうぞ。 「あは、あははははははっあはははっ!!!!!!」  呆然としていると、柊空はふらふらとよろけ、そのまま屋上の柵に寄りかかりました。  長い間人の手が入っていなかった柵は、大分脆くなっていたのでしょう。 「あ」  呆気ないほど簡単に柵は壊れ、柊空の身体は宙に放り投げだされました。  落下していく体に手を伸ばそうとしても、届かないことでしょう。  柊空は。  空虚な笑みを一つ残し、落ちました。  静寂が辺りを包みます。  やがて、パトカーのサイレンの音が聞こえることでしょう。  あなたたちは、行方不明となった男がこの廃校にいることを掴んだ警察によって保護されるでしょう。  探索者に疑いの目はかかることなく、ほどなくしてあなたたちはいつもの日常に戻ります。  そう、不自然なほど何もない日常に。 シナリオ生還報酬 生還した 1D3 制作者:雪空鈴音